「あ、あぁん!」
杲々(こうこう)と電気をつけた部屋の中に、望美の嬌声が響き渡る。
「もうダメっ!」
限界を訴える望美に、知盛は、
「クッ……まだ、いけるだろう?」
自身を引き抜くと、望美の蜜壺にそれをあてがった。
そしてまた深く、奥まで擦りあげる。
「ひっ、あぁぁぁぁぁん!」
望美は甘く痺れるような快感に身を震わせる。
速度を上げて穿つ知盛の動きに合わせ、望美も自然に腰を揺らす。
自分の気持ちよいところを知盛に擦りつけるようにして。
「今日の神子殿は本当に熱心だ。先ほど束縛したのがよほどお気に召したのだろう」
呟くように知盛が続ける。
「こんなにもいやらしい声をあげて俺を求めてくるなんて……クッ、可愛いじゃないか」
知盛は感嘆したように溜息をついた。
「はっ、あんっ! 知盛っ!」
深く奥までを穿たれ、望美は腰を浮かせた。
蕩けるような快感が身体中に広がる。
縋りつくように伸ばしてきた望美の腕を背中に回しながら、知盛は問う。
「もっと、俺が欲しいか?」
「そんな……あぁんっ……ことない」
「嘘をつけ。こんなに俺を締め付けてるくせに」
「し、締め付けてるなんて……恥ずかしいこと…………や、い、言わないでよ!」
「本当のことだろう? 望美」
耳元で囁かれ、望美はぴくりと身体を震わせた。
硬くなった胸の先端を摘まれる。
甘い快感に、望美は欲望にさらに火がつくのを感じた。
もう止まらない。
止められない。
知盛が欲しい。
穿って……ほしい。
望美は知盛にぎゅっと抱きついた。
「あぁぁぁぁぁぁんっ!」
何度も敏感なところを擦りあげられ、望美はそのたびに腰を揺らし知盛を求めた。
色づいた声は、歌うように唇から零れ落ちる。
ふわりとした快感がゆるやかな波のように押し寄せてきた。
知盛がスピードを緩める。
望美が不満げな声をあげると、
「クッ……物欲しそうな瞳をしてるな」
意地悪く訊いてきた。
こくこくと頷くと、
「こういうときはなんていうか、わかってるだろう?」
「と……知盛で、いっぱいにして……?」
望美はうわ言のように呟いた。
「あぁ、俺で満たしてやるよ。お前が離れられなくなるほどにな」
知盛は半開きになっている望美の唇にキスをした。
そして、彼女の一番敏感なところを集中的に擦り上げる。
「あぁぁぁぁぁぁん!」
望美の身体が小刻みに震えはじめた。
ぎゅっと膣壁が伸縮し知盛を締め付ける。
知盛が強く穿つと、望美は大きく大腿を震わせた。
「あ、あぁん……あぁぁぁぁぁぁん!」
身体を弓なりに反らせ、望美は快感の波に呑み込まれたのだった。
知盛も精を放ち、蜜壺から自身を引き抜く。
荒い呼吸を繰り返す望美に、
「まだ、宴はこれからだぜ」
知盛はしどけなく投げ出されている望美の両足を立たせ広げた。
「と、知盛?」
望美が焦点の定まらない瞳で知盛を見上げる。
「心地よい夢を見せてやる。さあ、宴の続きだ」
知盛は望美を抱きしめると、再び望美の蜜壺に自身をあてがったのだった。
*****
朝、七時頃。
流行の歌謡曲のサビが、部屋中に大音量で響き渡る。
知盛と望美は寄り添うようにして寝ていた。
「煩いな」
そう言いながら知盛は身を起こした。
この音楽はさっきも鳴っていた。
もう一度寝ようと、うとうととしているところにまた鳴るもんだから耳障りで仕方がない。
面倒だ、と呟きながら知盛は音の主を探す。
見回すと、ベッドの脇に置いている机の上で携帯電話が点滅していた。
望美の携帯電話だ。
どうやらこれが原因だったようだ。
知盛はそれを止めようとして、ふと手を下ろした。
傍らに寝ている望美を見やり、
「おい、朝だぞ」
彼女の肩を揺する。
行為が終わった後、そのまま眠ってしまったので、望美は何も着ていない。
それは知盛も同じだ。
カーテン越しに差し込んでくる朝陽が、望美の上半身を照らし出す。
白く浮かび上がる双丘に目眩を覚えながらも、知盛は理性を保ち、もう一度、望美の肩を揺すった。
「ん……んんっ?」
不機嫌そうに望美は声を出し、知盛を避けるように寝返りを打った。
知盛とは反対方向に顔を向け、安心したようにまた寝息を立て始める。
起きろ、という代わりに耳朶を甘噛みしたが、うるさいと一蹴された。
「うるさくても起きろ。お前が言ったのだろう? 朝起こせと」
「……」
「遅刻しても知らないぜ」
望美は何も答えない。
二度寝してしまったようだ。
「まあいい。約束は果たしたのだからな」
満足そうに呟くと、鳴り響く携帯電話を止めた。
再びベッドに横になる。
そして望美を抱き寄せると、そのまま目を閉じた。
望美の、どうして起こしてくれなかったの? という怒声を聞くまであと三時間。
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