警告
「立ち帰りあはれとぞ思ふ、君の名を」は性描写を多く含んでいます。
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立ち帰りあはれとぞ思ふ、君の名を
膝に貼ってもらったばかりの絆創膏を指で撫でると、男の子は嬉しそうに、
「おねーちゃん、ありがとう!」
望美はそんな男の子を見て微笑すると、
「ふふっ、もう大丈夫ね」
「うん!」
男の子は元気よく答える。
「気をつけて帰ってね」
「はーい!」
男の子は望美に手を振ると、道を走ってゆく。
「そんなに走ると、また転ぶよ」
望美は苦笑交じりに呟いた。
*****
「ただいま……じゃなくって、お邪魔します」
望美はそう言いながら玄関の扉を開ける。
ここは惟盛の住むマンションだ。
学校の帰りがけによく来ているので、ついつい家と勘違いして「ただいま」っと言ってしまう。
合鍵で入っているからなおさら間違えやすい。
惟盛はまだ帰ってきていなかった。
リビングに行き、電気をつける。
ソファーに腰を下ろすと、望美は鞄から問題集を取り出した。
惟盛が帰ってくるまで宿題をしようと思ったのだ。
テーブルを机代わりにし、その上に問題集を広げた。
(やっぱり、解んないなや)
今日の宿題は苦手な歴史の問題である。
頭の中で年表がごちゃごちゃになるわ、語句の意味を間違えて覚えていたわで、教科書の前に戻って確認ばかりしているのでさっぱり前に進まない。
そのうち欠伸が出始め、望美は筆を止めた。
(惟盛、早く帰ってこないかなあ)
ほぼ毎日逢っているはずなのに、少しでも離れていると寂しくてたまらない。
二十四時間、惟盛といられたらいいのに、と本気で思うことがある。
ずっとずっと惟盛を見つめていたい。
相変わらず冷たいけど、そんなところを含めて望美は惟盛が好きだった。
どれくらい経っただろうか。
カーテンを開け、窓越しに空を眺める。
惟盛の家に来た時には少しうつむき加減だった太陽が、今はもう青褐色で覆われた空の下に、完全に姿を隠している。
ガチャリとドアを開ける音が聞こえた。
惟盛だ、望美は嬉しくなった
*****
お帰りなさい、と元気よく迎えたのに、惟盛は酷くつまらなさそうな顔をした。
まるでどうしてここに望美がいるのか、と言わんばかりに。
二人はリビングのソファーに腰を下ろしていた。
惟盛は先ほどから黙ったままだ。
何かを考え込むように顎に手を当てている。
望美はそんな惟盛の気を紛らわそうと、立ち上がった。
リビングに行きコーヒーを淹れる。
二人分のコーヒーカップをテーブルの上に置いた。
「はい、どうぞ」
望美の言葉に惟盛はあぁ、と頷いた。
「どうしたのよ、惟盛。帰ってきてからずっと元気ないじゃない。会社で嫌なことでもあったの?」
惟盛の隣に座りながら問う。
「別にいつもと変わりませんよ」
虚ろな目でカップのコーヒーをスプーンですくいながら惟盛が答える。
「いつもと違うじゃない」
望美は苛立つように言った。
せっかく惟盛に逢えたのに。
どうして機嫌が悪いのだろう。
悩みがあるなら言ってくれれば相談に乗るし、自分に反省してほしい点があるなら改めるのに。
ぎくしゃくした雰囲気を破るべく、望美は夕方のことを話し始めた。
「今日ね、学校の帰りに小学生ぐらいの男の子に会ったの」
男の子、と聞いた時、惟盛の眉がぴくりと動いたような気がした。
「道路の脇にぺたんと座っていたから、どうしたのって聞いたわ。走ってたら石に躓いて転んだんだって。あまりにも酷い怪我だったから……」
望美は不意に口をつぐんだ。
惟盛が睨みつけるように望美を見ていたからだ。
その顔には不愉快です、と書かれていた。
特に気に障るような話をしたつもりはない。
どうして睨まれるのか。
意味が解らない。
それでも望美は話を続けた。
「絆創膏を貼ってあげたの。普段はあんまり絆創膏使わないけど……」
「お黙りなさい!」
突然、厳しい声でびしゃり、と遮られた。
望美は吃驚して息を止める。
「これ以上、その話を聞きたくありません」
「どうして?」
望美には惟盛が何故目を吊り上げるのか理解できなかった。
「虫唾が走るのです」
何に対して、と聞こうとした。
だが、それは言葉にならなかった。
惟盛に唇を塞がれたからだ。
強引に唇を割られ、口内に惟盛の舌が侵入してくる。
口蓋、歯列をなぞるように舐められる。
「んっ、はっ……」
ようやく唇を開放され、望美は砂浜に打ち上げられた魚のようにぱくぱくと口を動かし、酸素を求めた。
「いきなり、何するの!」
惟盛は質問に答えなかった。
その代わり、これが答えだというように抱き寄せられた。
そしてまた、唇を塞がれる。
角度を変えて何度も何度も啄ばむようなキスが繰り返される。
(このままじゃ、まずい)
今日はやるつもりで来たのではない。
明日はまだ学校がある。
学校に行けなくなったら困る、ということで平日はやらないことにしていた。
キスを止め、惟盛が望美の上着に手をかけた。
「こ、これ以上はダメ!」
望美は上着をしっかりと掴み、脱がされないようにした。
「こちらの方がお留守になってますよ」
「ダメ!」
望美は鋭く叫んだ。
それを無視し、惟盛は望美の制服のスカートの中に手を滑り込ませた。
下着の上から性器を触られ、望美はぴくりと反応する。
「濡れてますね、望美」
愛液で湿った下着を撫でられる。
惟盛の手は望美の性器の形を確かめるように動いてゆく。
「い、いやっ……」
望美は惟盛の手を止めさせようと手を伸ばした。
だが、それよりも早く惟盛に手首を掴まれた。
手首を制されたまま、ゆっくりとソファーに押し倒される。
スカートを下着ごと脱がされた。
あらわになった性器を見て、惟盛は舌舐めずりをした。
まるでどうお仕置きするか、と愉しむように。
望美の足を開脚させると、惟盛はその間に顔を埋めた。
「ひっ…あんっ」
惟盛の舌先が花芯に触れ、望美は声を上げた。
ぐちゅり、ぐちゅり、音を立て惟盛が花芯を舐めてゆく。
芽に軽く甘噛みをされ、上下に強く擦られ弄ばれる。
「こ、惟盛……んんあんっ」
「我慢できませんか?」
そうじゃなくて、と望美は首を振る。
「は、ん……やめ……あぁぁぁんっ」
芽を強く愛撫され、望美は腰を浮かせる。
「あ、明日は……あっ……が、学校だから」
「だから?」
力を緩めることなく、惟盛が続きを促す。
「ダ、ダメ」
「その割には悦んでいるようですね」
ぐちゅ、ぐちゅ、望美に聞かせるように惟盛は淫音を立て、芽を擦りあげた。
「あ、あぁぁん」
望美はこれ以上感じないように、唇を噛み締めた。
痛みで少しでも気が紛れればいい。
だが、現実は違った。
惟盛は望美を喘がせるように執拗に愛撫を繰り返す。
甘く痺れるような感覚が襲ってくる。
枯れることを知らない泉のように、蜜壺からは愛液が溢れ出ている。
まるでもっと惟盛に愛してほしいというように。
身体が疼き始める。
惟盛がほしくて、甘い至福の時間に浸りたくて。
理性とは反対に本能が動き出す。
「もっと、強く」
懇願するように言葉が唇から滑り落ちる。
違う、本当は止めてほしいのに。
心とは逆の言葉が溢れ出す。
「こんな感じですか?」
「うん、あぁ……もっと、上」
惟盛は望美の言うとおり、感じやすいところを攻め始めた。
身体の中心からぽっと温かくなる。
来る、望美は眼を閉じ惟盛の動きに集中した。
そして、
「あぁぁぁぁぁん、ぁんっ!」
大腿を震わせ、望美は軽く達した。
蜜壺がひくひくと軽く痙攣をする。
惟盛はそんな望美を満足そうに眺めると、蜜壺の中にそっと指を入れた。
達したばかりの胎内は惟盛の指を待ち構えていたようにきゅっと締め付ける。
蜜壺を攻めながら、惟盛は空いたほうの手で望美の胸を愛撫した。
「望美」
不機嫌に名を呼ばれる。
「外してください、その忌々しい下着を!」
惟盛の言葉に望美は背中を少し上げ、ブラのホックを取ろうとする。
「ひっ、あぁんっ」
惟盛の指が胎内に触れる度に、手が緩みどうしても上手く外せない。
「まだですか?」
「指を外して、ぁぁんっ。か、感じちゃうの、そ、それで……あんっ……と、取れない」
やれやれと惟盛は蜜壺から指を引き抜いた。
望美は荒い息をしつつ、ブラのホックを外す。
惟盛は望美の上着も脱がせると、ソファーの隅に放り投げた。
「あんっ」
ゆっくりと胸を揉みしだかれ、望美は声を震わせた。
花芯を愛撫しつつ、惟盛は望美の胸の先端に下を這わせた。
先端を強く吸い、そして舌先でつぶす。
両方の胸を同じように愛撫した。
熟れた胸の先端に息を吹きかけられ、望美は身体を震わせる。
「何か言いたそうですね。してほしいことでもおありですか、望美」
惟盛が望美の望むことをしらないはずがない。
惟盛は弄ぶように蜜壺の入り口で指先を動かす。
望美はさっきから身体の中心が疼くのを感じていた。
惟盛によって開発された身体は、彼を求めて動いていた。
奥まで思いっきり穿ってほしい。
惟盛と一緒になりたい。
「言わなければ、ずっとこのままですよ」
意地の悪い笑み浮かべ惟盛は言った。
身体が疼く。
惟盛がほしい。
彼を感じたい。
不意に惟盛が望美から手を離した。
望美が言うまで、何もしないということらしい。
それは困る。
惟盛によって熱くなった欲望が、身体の中で蠢いていたのだから。
「さあ、どうしますか?」
「ほ、ほしい……」
恥ずかしさで顔を赤らめつつ、望美はやっとのことで言葉を吐き出した。
よく言えました、というように惟盛が鼻先に口付けを落とす。
「何がほしいのですか?」
「そ、そこまで言わなくてもいいじゃない」
「解らなければ、何もできませんよ」
「ほ、ほしい。惟盛………のが」
「合格点は出せませんが、まあよいでしょう」
惟盛は自分の服を脱いだ。
そして望美の足を大きく開脚させると、とろとろと愛液を流している蜜壺に自身をあてがった。
「挿入れますよ」
耳元で囁かれ、望美は少しだけ身構える。
この瞬間だけは何度身体を重ねても慣れることがない。
「ひゃっ、あぁぁあん!」
ずぶりと挿入ってきた惟盛に、望美は嬌声を上げる。
胎内は惟盛を悦ぶようにぎゅっと締め付ける。
散々弄ばれた身体は感じやすく、維盛がちょっと動いただけで達してしまいそうだった。
「はっ、あぁぁぁぁぁぁぁん……あぁぁんっ!」
惟盛が腰を動かす度、望美の声は艶やかさを帯びてくる。
望美が何か掴むように手を伸ばした。
惟盛はそっと自分の肩に望美の手を回す。
支えができ、安心したのか望美はいっそう色めいた声を上げる。
生きている人間を忌まわしい存在、と考えていた彼を説得するのにどれほどの時間がかかったのだろう。
何度繰り返しても変わらなかった運命。
リズヴァーンは、望美の一途な想いが運命を変えたのだ、と言った。
彼が怨霊でも、構わない。
やっと掴んだ至福なのだから。
「望美」
顔を上げると、ちゅっと口づけされた。
穿つスピードが速くなる。
集中的に弱いところを擦りあげられ、望美はその度に惟盛を締め付けた。
一度、抜き出されまた穿たれる。
ぐちゅ、ぐちゅぐちゅ。
淫猥な水音が部屋に響き渡る。
「あぁんっ、惟盛、もう……イくっ……」
切ない声を上げ望美は限界を訴えた。
敏感なところを攻められ、深く奥まで穿たれる。
その刹那。
ふわりとした快感が波のように押し寄せてきた。
「あぁぁぁぁぁぁんっ……ぁぁぁん………はぁん!」
望美は強く惟盛を締め付けると、首を仰け反らせた。
四肢を痙攣させ、望美は絶頂へと達したのだった。
*****
目を開いたとたん、惟盛と目が合った。
達した自分を心配して見守ってくれたらしい。
なんだか恥ずかしくなって、望美は思わず
「馬鹿」
と小さく呟いた。
倦怠感が残っている重い身体をソファーから起こすと、行為の最中に考えていたことを言った。
「男の子に嫉妬したんでしょう?」
惟盛が驚いたように瞠目する。
望美は身体の上にかかっている服がずれないようにしっかり握ると、
「わたしが男の子に優しくしたのがそんなに嫌だった?」
惟盛は暫く黙っていた。
やがて、
「見たのです、帰りがけに。あなたが見知らぬ少年に手当てをする姿を。それをみたらどうしようもなく、嫌になって……」
「惟盛……」
「あなたの優しさを他人に奪われるのが嫌だったのです。私だけを見てほしい。私だけにその優しさを見せてほしい」
掠れた声で、いけませんか? と惟盛が問う。
その姿がいじらしくて、望美は思わず惟盛を抱きしめた。
そして、返事代わりに惟盛の唇に口づけを一つ落とした。
変わることのない愛を誓いましょう。
やっと見つけた運命の人。
二人の道を、わたしたちは幸せを噛み締めながら歩いてゆく。
―END―
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