君と君の好きな人が、
いつまでも幸せでありますように
届かなかったこの想い。
いえ、当然の結果といいましょう。
わたくしは御仏に仕える身。
恋など許されるはずがないのです。
それでも一滴の水滴の光のように、微かな希望を持っていました。
あなたが振り向いてくれるかもしれない。
わたくしを選んでくださるかもしれない、と。
わたくしは未だにあなたのことを想ってしまう。
あなたの笑顔を思い出すたびに、胸が痛む。
もう忘れてよい頃なのに……。
あなたはあなたの選んだ男性(ひと)と幸せにしていますか?
遠く離れたこの場所からあなたの幸福を祈りましょう。
もう思い出さないと、誓いを込めて。
やわらかな春風に笛の音を乗せましょう。
―END―
お題元:追憶の苑
「長めの100題 その一 Type : 4」より
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