こちらはフリー小説(エリオット×アリス/
R-15)です。
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深海のキス






 

落ちてゆく、とアリスはこの気持ちをそう表現している。

底の見えない海へと落ちてゆくような深い口づけ。

エリオットのキスはアリスを陶酔させ、いつも理性を剥ぎ取ってゆく。


 

「ん……んんっ」

アリスはエリオットの上にまたがったまま、艶やか吐息を漏らす。

全身が震える。舌と舌とが絡み合い、噛みつくように互いの唇を貪っている、そんな深いキスに。

主導権はアリスにあったのに、それがいつの間にか逆転している。

このまま口づけを交わすと、エリオットの上に崩れ落ちそうだ。

怖い。

エリオットに主導権を渡すのは。

アリスがエリオットの上にいる限り、自分に主導権がある、とアリスは思っている。

このままもう少し、主導権を握っていたい。

だから、アリスは放してという意味を込め、エリオットの胸をそっと押した。

つうぅっと、銀色の糸を引きながら互いの唇が離れてゆく。

「アリス、なんで」

訊いてきたエリオットの唇は艶やかに濡れている。

キスをした後だから当たり前だ。

いやらしい、と思う。

上気した頬、夢を見ていたかのようにぼんやりとした瞳は、ぱちぱちとアリスを見て瞬きをする。

「怖かったから」

「俺と繋がるのことが?」

恥ずかしい言葉も遠慮なくストレートにエリオットは口にする。

自分が彼とこれからする行為を想像し、アリスは一人赤面する。恥ずかしいこと言わないでよ、と耳でも引っ張りたい気分に駆られたがアリスはそれを無視した。

「エリオットのキスに酔うのが」

「どういう意味だ?」

「そのままの意味よ。あなたに主導権を握られるのが悔しくて、あなたのキスに酔うのが怖いの」

感情を吐露したアリスにエリオットは軽く瞠目する。

「主導権を握りたいって」

それは無理なんじゃないの? とエリオットの表情がもの語っている。

アリスはいつもエリオットに負けてしまう。

快感に酔わされてすべてを手放してしまうのだ。

エリオットを求めること、それだけで精一杯。

「やってみるか?」

エリオットが言った。静かな口調。だが、その瞳は面白そうなものを見るように光っていた。

「やめとく」

今はエリオットに酔いたいから。

「じゃあ決まりだな」

くるりと視界が回る。

体勢逆転。

ぎしぎしとふたりの体重でベッドが軋む。

エリオットのオレンジ色の髪の毛がふわりとアリスの頬に当たる。

唇が熱い。

先ほどのキスよりももっと深い、アリスのすべてを貪るような深くて苦しい、けれど痺れるほどに甘い口づけ。

「ん・・・・・・はっ」

エリオットはアリスの口を唇でふさいだまま、器用にアリスのエプロンドレスを脱がせてゆく。

キスの終了と同時に、するりと糸一つ纏わぬ格好にさせられる。

「あぁんっ、ま、だ、だめっ」

さわりと大切な場所の奥を触られ、アリスは身をよじらせた。

「こんなに濡れてるのに?」

耳に熱い吐息がかかる。

「あんっ」

思わず反応してしまう。

「ふふっ、今日は感度がいいみたいだな」

ちゅっと首筋にキスをされる。

そんなことはない、と否定したいのに、口から出てきたのは、求めるような甘い叫び。

全身にエリオットのキスが降ってくる。

やさしくて甘い痺れを伴う口づけは、アリスの理性を奪ってしまう。

あぁ、また落ちてゆく。

深い海へとエリオットのキスに落とされてしまう。

(ひとりで落ちるなんていや。エリオットも一緒よ)

彼のキスが止まった時を見計らい、アリスはエリオットの唇にキスをした。すぐ離れ、今度は頬、鼻先。そして首筋へと降りてゆく。エリオットがしてくれるのと同じように、甘いキスを落としてゆく。

「ア、アリス?」

エリオットは驚く。耳も呼応したようにぴょこぴょこ揺れる。その姿が可愛くてアリスは思わず微笑した。

「一緒に落ちましょう」

「いいぜ、アリス。ひとりでイくなよ?」

また、ストレートに、とアリスは頬を赤らめる。

ゆっくりとエリオットがアリスの上に覆いかぶさってくる。今だ慣れない痛みに顔をしかめながら、アリスはエリオットを受け入れる。

深海へと落ちてゆく。甘くて痺れるような波がアリスの体中を包み込む。

落ちてゆく、落ちてゆく。二人一緒に、甘く深い海の底へ。



END

艶有り小説を書きたかったので、頑張ってみました!
エリオットは恥ずかしい台詞を平気で口にする男(ウサギ?)だと思います!
お読みいただきありがとうございました!






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